サッカーの移籍ニュースでよく見る契約解除金とは? 移籍金・市場評価額とともに解説&トッププレイヤーたちの金額紹介
先月(2022年)8月19日にイングランド・プレミアリーグ所属のマンチェスターユナイテッドは、スペイン・ラリーガのレアルマドリードから
ブラジル代表でもあるMFカゼミーロの獲得を発表しました。
【移籍情報】カゼミーロのマン・U移籍が決定、移籍金7500万€+インセンティブ1500万€…レアル・マドリードではCL5回優勝 | ラ・リーガ(DAZN News) - Yahoo!ニュース
ユナイテッドはカゼミロに5年契約を提示…1370億円の契約解除条項を設定もレアルは本人の意思を尊重か(超WORLDサッカー!) - Yahoo!ニュース
~↑が消去された場合の要約~
・マンチェスターユナイテッド、レアルマドリード双方合意のもと、カゼミーロの移籍が決定
・移籍金は7000万ユーロ(約96億円)で、出来高によっては計100億円を超える移籍金がレアルマドリードに支払われる。
・レアルマドリードはカゼミーロと2025年夏まで契約を延長をした際に10億ユーロ(約1370億円)の契約解除条項を設定していたが、カゼミーロの希望を尊重してマンチェスターユナイテッドとの交渉を進めたと見られる。
ここでニュース記事内、カゼミーロの契約内容について
10億ユーロ(約1370億円)の契約解除条項
という文言がありました。
実はあまり目立たなかったり、
そもそも取り沙汰されていなかったりなどで
知られていないが
多くの移籍のニュースでこの契約解除条項がかかわっている場合があり、
最近でいえば
日本代表FWの伊東純也選手の移籍でも
スタッドランス(フランス)が
前所属ヘンク(ベルギー)での
契約解除条項であった満額の14億円を用意したため、
移籍が実現したと報じられています。
また有名なサッカーゲームのウイニングイレブン
のゲームモードの一つの“マスターリーグ”というモードでは
実際に選手契約の条項に契約解除金を設定するという場面があるなど
プロサッカーにおいて契約解除金は綿密について回っているものなのです。
ということで本記事では
契約解除条項(契約解除金)とは何なのかについて解説していきます。
~契約解除金とは?サッカー選手の契約内容について解説~
まず、サッカー選手の移籍のニュースでは契約解除金以外に
移籍金、
市場評価額
などの単語もともに見受けられることが多いです。
それらを含め順を追って説明していきます。
1. プロ契約
まず、プロサッカー選手とは
クラブチームとプロ契約を結んだ選手のことを指します。
各選手とクラブの間で“給料”や“年数”を定め契約を交わすと
選手は契約期間中はクラブが所有する選手ということになり
選手はクラブのために活動し、クラブは選手に給与を支払います。
2. 移籍金
しかしこの契約期間中に、他クラブからオファーがあり、
活躍の場を変える、契約の内容が良い、現状に不満がある
など、様々な理由で
選手としてもその新しいクラブと契約したいと考えた場合、
それは契約の満了を待たずして、契約の破棄をすることになるため、
契約の不履行となり違約金が発生します。
(この違約金は、携帯の通信プランなどでのソレと同じため、わかりやすいと思います。)
その違約金、つまり契約を破棄するため支払われたものが移籍金となります。
その逆に契約の満了を待ってから、他クラブのオファーに応じる場合、
契約の不履行による違約金が発生しないため、
これはフリーでの移籍、つまり俗にいうゼロ円移籍となります。
3. 市場評価額
しかしこの違約金の額は 携帯の通信プランとは違い
明確に決まっていない場合がほとんどです。
ではこの違約金がどのようにきまるのかというと
市場評価額という単語がかかわってきます
市場評価額とは
活躍期待値(選手の成績や実力、今後の成長・怪我リスク)から、選手を評価した相場額です。
実力のある選手や結果を出した選手が評価され高額がつくのはもちろん、
期待の若手であると今後の成長の期待の分高額であったり、
ベテラン選手であるために、今後の衰退や怪我などのリスクから実力や経歴より低くなる
世界的に不景気で市場全体の価格が下がる
など、いろいろな要因で価格は変動し、明確な基準はありません。
4. 契約解除金
そして選手とクラブが契約する際に、
あらかじめ契約破棄に必要な違約金を決めておくこと
が契約解除条項となります。(必須の条項ではない)
この契約解除条項の意図としては、大きく分けて2つの意味で結ばれることが多いです。
・クラブ側が選手を非売品(と同義)であると対外へアピールする場合
基本的に契約解除金はクラブ側が市場評価額的に損をしないために
それよりも高額に設定する場合がほとんどです。
クラブ側はそれよりも低い額で契約解除金を設定してしまうと、
移籍が確定してしまった場合損をしてしまうことになります。
またその選手をクラブ側が重要視し、選手もクラブに尽くしたいと考えている場合は、
そのことを他チームにアピールするため、
市場評価額の倍、あるいはそれ以上の金額で契約解除金額を設定します。
最初に紹介したカゼミーロの契約内容である1300億円というのも、
これと同じ意図で設定された金額であったとされています。
・選手がクラブによる不当な権利の保有を避けるため
もう一つは、選手がクラブに占有されないために結ぶ意図の場合です。
資金力のあるクラブが多くの高給取りを雇ってのチーム作りは
特に近年のサッカーでよく見受けられます。
ですがどのチームであっても試合数も出場できる人数も決まっています。
より多くの選手ほ保有するということは、それだけ試合に出られない選手が多くなるということです。
この時、
選手がこの出場が少ない、
あるいは監督やチームメイトとの確執
などで現状に不満があるという場合に、
オファーしてきたチームに速やかに移籍して活躍の場を変えられるよう、で
市場評価額に則した、あるいはそれよりも低い金額
で金額設定される場合です。
一見、資金力のあるチームが得をしそうなシステムですが、
あくまで、一方的な契約の破棄のための違約金について設定されているだけで
移籍を実現させるには、
違約金満額を用意した上で選手からも合意を得られなければ
移籍が実現することがありません。
かつて多くのスターが中国へ移籍したように、
高額な報酬で移籍をする選手もいれば、
他のカテゴリーやクラブなどでの待遇などを重視する選手
など様々で、
契約解除金が低く設定されている選手でも、
現状の待遇に満足しているなら
他チームからのオファーを断り、チームのために尽くしてくれる
ということも十分にあり得ます。
そのほかにも最近でいえば
上海条項所属のオスカル選手の
母国クラブ フラメンゴへの移籍話も
市場評価額としても十分なはずの移籍金を提示されていたにもかかわらず
所有クラブの上海海港が拒否したため、移籍が実現しなかった。
(8/18-2022)
あるいは
元日本代表の中島翔哉選手に中国とトルコのクラブがオファー
クラブ側は売却に前向きであったが
中島選手がオファーを拒否したため、移籍が破談
(8/27-2022)
など、
クラブと選手両方の合意を得るには
必ずしも資金力であるとは限らない
と言えます。
また逆に前述のカゼミーロ選手の移籍ように
契約解除金にかかわらず、クラブ間の交渉次第では
一般的な相場に準ずる金額での移籍も十分あり得るため
実際のところ契約解除金とは参考程度のオプションと言えなくもないです。
~余談:世界のトッププレーヤーたちの契約解除金額~
この契約解除金とは年々並々ならぬインフレで高騰しています。
下記の選手ではとりわけ世界的に高額設定されていた選手として紹介しますが
もしかすると現在の価値ではここで紹介する額よりも高額設定されてる選手は多いかもしれません。
常にどちらが至高かで議論が巻き起こる2人
リオネル・メッシ と クリスティアーノ・ロナウド
についてです。
現在では選手としてのピークを迎え、市場評価額も昔ほどではなくなりました。
ですが過去の数々の栄光より、純粋な選手としての力量に加え、計り知れないほど経済効果をもたらす二人は、付加価値としては現在でも世界トップクラスと言えます。
2018年に日本のヴィッセル神戸に移籍してきた
世界的スーパースターのアンドレス・イニエスタも、
移籍から4年ほど経つにもかかわらず、
神戸のアウェイゲームである試合のチケットは
未だに即完するほどの経済効果です。
つまりメッシやクリロナでは、これ以上の効果が見込めることとなります。
ではキャリアピーク当時の実際の契約解除金
はどうだったのかというと
メッシ(バルセロナ時代-2019年): 推定 650億円
クリスティアーノ・ロナウド(レアルマドリード-2017年):推定 1350億円
(※金額は当時の推定としてメディアに報じられたもの)
しかしこれは必ずしもこの通りで選手の付加価値が決まるというわけではありません。
まずクリスティアーノ・ロナウドの価格設定としては
至極妥当と言える金額であるといえます。
クラブ側の選手の同選手への重要性が伺えます。
彼は非売品であるとの意でしょう。
対してメッシの場合、
非売品として十分高額ですが、ロナウドと比べると半額の価値となっています。
ですが当時の彼とクラブの関係値では、
たとえ解除金満額を用意されたとしても、
メッシ本人がチームを去ることはない
という信頼関係・自信が伺えるともいえます。現在では違うかもしれないが
このように付加価値に対し必ずしも適正価格が設定されるとは限りません。
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